松本市熟年体育大学(総合体育館コース)
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◆日本人は肥満になりやすい? モンゴロイドの遺伝子

 我が国でも食生活やライフスタイルが欧米化するのに伴い、肥満、糖尿病をはじめとする生活習慣病が急増しています。例えば、我が国の糖尿病の患者数は690万人、予備軍も含めると1370万人になります。一方、肥満症は最近の報告によれば、2000万人を突破したと言われています。生活習慣病は遺伝と環境の相互作用を受けますが、糖尿病に限って言えば、遺伝の関与の割合は3割、残りは環境因子によるそうです。

 人類の歴史を遡れば、脂肪を体内に蓄積することは必要不可欠なことでした。狩猟時代、獲物がとれず飢餓に陥っても、脂肪という貯金をつき崩しながら生き延びることができます。また、脂肪は寒さから身を守る働きもあります。こうした生理的なメカニズムがあったから、人類は氷河期を生き延びてこれたのです。

 モンゴロイドなどは、中国大陸からベーリング海峡を渡り、アメリカ大陸を南下するという民族大移動をしています。これなども、脂肪があったからこその快挙と言えるでしょう。実際、最近の分子遺伝学の研究によれば、アメリカ南西部アリゾナ州に住むピマインディアンは、脂肪を体内に蓄積しやすい遺伝形質を保有しており、人口の5割が肥満と糖尿病であることが報告されています。ご存知のように中国大陸のモンゴロイドは我が国の祖先でもあり、そのために日本人において糖尿病や肥満の発症率が高いと主張する研究者もいます。

 過去において人類生存に貢献したこれらの遺伝形質が、現在の飽食の時代にあって逆の結果を生むことは皮肉なことです。しかし、上記のピマインディアンの中で、メキシコで質素な食生活と農作業など肉体労働に従事している人たちは、アリゾナ州のピマインディアンに比べ、平均体重が26kgも低いことが報告されています。生活習慣病予防のために食事、運動処方の重要性を示唆する結果として興味深い話です。
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