松本市熟年体育大学(総合体育館コース)
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◆自分のからだだから 老いた「のび太」にならないで

 人生90年として、私たちが最も体力的に充実しているのは20代です。その後、体力は徐々に低下し、最大値の30%になると自立した生活は無理。介護保険の面倒にならねばなりません。「死ぬまで他人の世話にはなりたくない」とは誰もが願うこと。そのためには二つの方法があります。一つは、30歳までにできるだけ体力をつけること。もう一つは30歳以降もできるだけ運動をすることです。オリンピック選手の20代での最大酸素摂取量は運動習慣のない人の倍以上。グライダーの飛行に例えれば、最初に高度を稼いだ分、高年齢まで肉体的に自立した生活が送れることになります。しかし、運動トレーニングに限れば、遅すぎるということはありません。

 20年前までは、高齢者の激しい運動はマイナスと言われましたが、最近は積極的に運動すべきという考えが主流です。60代を対象に最大心拍数の80~90%の運動負荷を45分間、週に3日、3ヶ月おこなうと最大酸素摂取量が20~30%も増加しました。大腿の筋力にしても、最大筋力の80%の運動強度で8回を3セット、週に2~3日を6ヶ月行えば、80代の人でさえ筋力が2~3倍になり、歩く速度が50%増加しました。

 無論、これらの運動の継続にはそれなりの精神力が必要です。私の友達の整形外科医は、お年寄りの腰痛に痛み止めを注射することは、「のび太」が頼むと何でも出てくる「ドラえもんのポケット」と同じだと嘆きます。他力本願的な行為で、根本的な治療にならないというわけです。お年寄りが少し勇気を出して、多少辛くても筋肉や関節を鍛えるトレーニングをしてくれれば、このような医療は不要になるケースが多いそうです。「自分の体は自分で守る」ことがこれからの高齢者には求められています。そのためには、本人だけではなく、医療関係者の意識や医療システムの改革も必要ですが…。
(N)
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